FITS が様々なアーティストを迎え入れ、オリジナル楽曲とともにオンリーワンの香水を生みだすコラボ プロジェクト「PARFA TUNE(パルファチューン)」。19 世紀にイギリスで発明された「香階」という 伝統的な手法をつかって、音を香りで表現するこのプロジェクトの第一弾コラボアーティストは「Mrs. GREEN APPLE」。
今回、特別インタビューを実施。
#1では、香水の開発秘話をお届けしました。
#2の今回は、コラボレーション曲「フロリジナル」に込められた想いや楽曲制作の裏話をお届けします。
―「フロリジナル」はどんな気持ちで作詞・作曲をしていたのですか?
大森:一周回ってあんまりどんな気持ち?って聞かれることってなかなかないですね。笑
どんな気持ちだっただろう? もちろん実験的であって、香水っていうのはありながらも楽曲としてはただ爽快でポップなだけではなくてちょっとビターな、深みのある奥深い感じを意識しました。
作曲も淡々としてパズルのようなアンサンブルのようで、後半で熱を帯びていったりするところとか、日常で聞いてほしい音楽だからこそ人の情緒に則ったつくり方をした気がします。上がったり下がったり、落ちたり熱を帯びたり寂しくなったり…というのをピュアに表現したいなと思って作りました。
―「Soranji」のリリース発表や大森さんの SNS での「ニュー・マイ・ノーマルのミュージックビデオにプロジェクトのヒントが隠れている」という発言を受けてファンのみなさんがさまざまな考察をされていましたが、どのように感じていましたか?
大森:当てている人いましたよね。
藤澤:ちゃんと当てている人ね!
大森:ありえなくない?当てられるわけなくない?笑
若井:すごかったよね!
大森:すごいな、って感心するのと、みんなこうやってミュージックビデオを見ているのかと。 僕が呼びかけて主流になってみんな探してくれていたけど普段から考察してくれている人はいるので。 下手なものはつくれないな、って気持ちもしますけど。笑
でも、うれしいです。ミュージックビデオの楽しみ方の一つでもありますよね。
若井:たしかにそうかもしれないってこっちが思っちゃうくらいの。笑
あ、そういう意味なのかな、これ?って逆に自分たちが気づかされるものもありますよね。
藤澤:何よりもこの発表を知ってすごく喜んでくれたのでそれが良かったなと思います。
―今回初めて香水を使う、という声もありました。
一同:それはすごい!うれしいですね!
―発表時から、香りの説明やプロジェクトのコンセプトを見て共感していただいた声がたくさんありました。今回の「香階」を取り入れた楽曲づくりで難しかったところは?
大森:僕たちは香りから先に決めたので使える音階が限られてしまって。そっちのほうが実験的で面白いだろうなと思っていたんですが、使える音階が決まっている中で作曲をしていくのは初めての経験だったので、難しくも楽しかったです。このコードこっちいけないや、でもこっちいっちゃえ!っていう。音楽って理論がありながらも一個の枠組みに過ぎないので、「香階」がそこを一歩踏み出す背中を押してくれた感じがあります。
若井:たしかにいつもは使わないコード感があったので、こういうプロジェクトならではのものだったと思いますね。
藤澤:今までの楽曲にはない不思議な雰囲気を纏っていると思います。
―「フロリジナル」でみなさんのお気に入りのパートは?
大森:うわー!笑
若井:僕は「目で見てみないと 冒険しないと ワクワクが腐るから 外へ出たい」の部分の雰囲気がすごく好きなんですよね。それこそ広がっていく感じとか。
そこまで幾何学的に進んでいくけどそこだけ広がりがあるというか。
大森:香水のプロジェクトなのに、目で見てみないと、っていうね。笑
「私を嗅ぐ」とか「あなたを嗅ぐ」とか、ものすごく不思議な表現というか比喩というかをぱっと思いついて歌詞に起こしているときに、あ、この「フロリジナル」をちゃんとフルサイズつくれるな、という気持ちになりましたね。
あとは、効果音でセロハンテープを切ったりとか、ホッチキスとか、紙を破く音とか足音とかキャップを外す音とか、それは楽しかったです。
あれは身の回りにいろんなものを置いて曲を再生しながらフルで録ったもので、細切れで録ったものではないのでぜひ聞く人は何の音が入っているかというクレジットを見ずに聞いてほしいと思います。
僕、いろんなことをやっているので CD のクレジットが大変なことになっているんです。すごい超人みたいな紹介になっていて。 笑
藤澤:すごいプレイヤーみたいなね!
大森:セロハンテープのクレジットなんて見たことないですよね。笑
そういうのはサウンドとしては面白かったです。何の音だろう?これ?って楽しんでもらえると思います。
藤澤:楽器の音が効果音に紐づいている部分があってピアノがピアノの音らしくない役割をしていたりとか、いつもは伴奏でずっと支えているような楽器かもしれないけどあえてときどき出てきたりとか。 ストリングスも突然現れたりとか、どの楽器も不思議な鳴り方をしています。
大森:基本的な音楽理論としてほぼありえないことをしている気がします。ベースが急に抜けたりとか。そういうところは音楽をやっている人も聞いていて面白んじゃないかなって。 藤澤:歌詞の情緒さと音楽の無機質さがすごく不思議で好きですね。
大森:この曲のジャンルがわからないんです。ロックでもポップでもバラードでもないような…気持ちとしてはバラードだと思っているんですけど、この曲はなんて呼んだらいいんだろう?という…
▲打ち合わせ風景
―「フロリジナル」はどんなときに聞いてほしい、寄り添える音楽だと思いますか?
大森:いやー!(二人に向けて)いったん客観的なのを聞かせて!笑
自分はどんなときに聞きたいか。
藤澤:ミセスの楽曲の中でもちょっと大人な香りがする曲で、曲調もテンポも体に沁みてくるような感じだし歌詞も日常の細かい気持ちの変化に寄り添ってくれると思うので、ほっとひと息つきたいなって時に聞きたいと思います。
若井:歩きながら聞きたいなって。テンポ的にもちょうどいいし、香水をつけて香りとともにお散歩しながら聞いたらすごく気持ちいいだろうなって。
大森:難しい!でも、あえて香水の世界観も含めて失恋したときとかに聞いてほしいです。 自分を鼓舞して明日も一歩踏み出さなきゃいけなかったり、違う自分を纏わないといけない瞬間にきっと優しく押してくれる曲なのかなって気がします。
失恋だけじゃなくて、傷ついたときとかへこんじゃったりとか、ちょっと頑張れないなってときに発揮する曲だと思います。
若井:そう考えるといろんなシチュエーションで聞ける曲だよね。
大森:本当にそう!それは意識した…です。意識したです!笑
―香りの「どんなときでも寄り添える爽やかさ」と同じように「フロリジナル」もどんなシーンにも寄り添えるというのはテーマになっているのですね。
大森:TPO だけじゃなくて、気持ちの上がり下がりでどんなときでもつけられる香水、聞ける曲にしたいなっていうのが始まりでしたね。
―その他、インタビューを読んでいる方々に向けて今だから言える裏話があれば教えてください。
大森:レコーディングの時にスタジオに若井がいなかったことです。自宅で録ったギターが使われています。笑
藤澤:元貴が作詞・作曲してくれて僕たちにデモを送ってくれるというスタイルでいつもは曲を作っていくんですけど、すごく実験的な曲になるよ、というのは最初から言葉をもらっていて。いつもはレコーディング前にリハーサルに入るんですけど「フロリジナル」はぶっつけ本番でしたね。
大森:当日まで自分がどのフレーズを弾くかわからないで来てもらいました。 スタジオに来たら、「ここ弾いて」というレコーディングは今回が初でした。
藤澤:僕も今までにないドキドキ感でしたし、レコーディング当日に 2 人しかいない現場も初めてだったし、若井もフレーズを見つめる機会になったよね。
大森:一人だけで向き合うってあんまりないもんね。
若井:そうですね、特別なものがありました。
大森:すべてが実験的で、そういうときじゃないと録れなかったと思うし、誕生しなかった音だと思うのですべてが奇跡のような感じで仕上がっていきました。 だから作って達成感というか、曲をフラットに聞けます。
若井:ミュージックビデオもね。
大森:ミュージックビデオ、楽しかったね!まじ、土だったもんね。笑
藤澤:本当の自然の中でね。
若井:僕は植物と一体化するようにしていました。笑
最初はいつものパフォーマンスのようにしていたんですが、プレイバックを見て雰囲気と合わないところがあるかな、という話でもうちょっと無機質に、って。初めての体験で楽しかったです。
大森:植物を背負ってミュージックビデオを録ることってないよね?スタジオの中で土まで踏みしめて。 笑
▲打ち合わせ風景
パルファチューンプロジェクトの記念すべき第一弾コレボレーションアーティストは、Mrs. GREEN APPLEさんに務めていただきました。
新しい取り組みで模索しながらも、ワクワクドキドキのプロジェクトのスタートとなりました。
音楽と香りのコラボレーションプロジェクト『パルファチューン』を通じて、これからもより多くの方に、音と香りの深く魅力的な世界観を楽しんでいただけたら幸いです。

今後のパルファチューンプロジェクトにも乞うご期待!
Mrs. GREEN APPLEのみなさん、改めて本当にありがとうございました。
PARFA TUNE(パルファチューン)特設ページはこちら
https://fitsonlinestore.com/f/parfatune